サブコアを使ってみる

RZ/G2LはCortex-A55が2個とCortex-M33が1個搭載されたハイエンドチップですが、今回はRZ/G2Lにサブコアとして搭載されているCortex-M33を使ってみます。

前回まではOSとして、組込みLinuxについて説明してきましたが、Cortex-M33のようにMCUクラスのチップではOSを使用しないベアメタルか、軽量のRTOSを使うのが一般的です。今回はサブコアの動作確認を目的としますので、なるべくややこしさを排除してベアメタルでやってみます。

開発環境としてはルネサス エレクトロニクスから提供されているe2 studioをインストールして、gccでコンパイルします。

必要なもの

サブコアを動かすために以下のものが必要です。

  • 統合開発環境: e2 studio 2023-04 Windows版
  • コンパイラ: GNU Arm Embedded Toolchain 9.3.1
  • デバッガ: PALMiCE4

ビルド環境としてはe2 studioだけダウンロードすればOKです。コンパイラはe2 studioのインストールと一緒にインストールできますので、改めてダウンロードする必要がありません。ひな形となるサンプルプログラムもe2 studioから作れます。

また、作ったプログラムをサブコアで動かすためにはJTAGに接続できるデバッガが必要です。デバッガを使わなくても何とかなるみたいですが(未調査)、デバッガを使った方が、ささっとプログラムを転送して実行することができますので、圧倒的に効率が違います。

e2 studioのインストールと起動

最初にe2 studioをインストールします。e2 studioはルネサスのホームページからダウンロードできます。今回は「e2 studio 2023-04 Windows用インストーラ」をダウンロードしました。zipを展開してインストールを行います。

途中のデバイスファミリの選択はRZにチェックします。

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日本語サポートを選択します。

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追加のソフトウェアは「GNU ARM Embedded 9.3.1」にチェックを入れておきます。ここはタブを切り替えないと選択できませんのでご注意ください。

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上のチェックを入れることで、途中でGNU Arm Embedded Toolchainのインストールが始まります。インストールの最後に表示される画面は、以下のように設定します。

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無事にインストールが完了し、e2 studioを起動すると、最初にワークスペースディレクトリの設定が必要です。デフォルトの場所がいやな場合は、適当な場所を指定してください。

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起動ボタンを押せばe2 studioが起動します。

プロジェクトの作成

起動後、最初は以下の画面が表示されますので、プロジェクトを作るために「Create a new C/C++ project」を選択します。

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プロジェクトのテンプレートの指定では「Renesas RZ/G C/C++ FSP Project」を選択します。

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プロジェクト名は何でもいいですが、とりあえず「test」としておきましょう。

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以下の画面ではボードの指定に「RZ/G2L Evaluation Kit (SMARC)」を選択します。

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プロジェクトのひな型を選択します。ここではLEDをチカチカさせるBlinkyを選択しました。

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これでプロジェクトの作成は完了です。

プロジェクトのビルド

プロジェクト作成後は以下のようにe2 studioの画面が表示されます。

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この状態で必要なソースファイルの登録や設定が完了しています。すぐにビルドできる状態となっていますので、ハンマーボタンを押してビルドを行います。

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無事にビルドできました。コンパイルエラーがあればコンソールに赤い文字で表示されますので気づくと思います。ツールのバージョンの差異などでエラーになることがありますので、あまり道からそれないことが成功への秘訣です。

最終的にデバッガでダウンロードするファイルはDebugフォルダにある「test.elf」です。

今回はほとんどインストールの手順となりましたが、次回、ボードにデバッガをつないでビルドしたプログラムを動かしてみます。